無題
「無題」というタイトルが付いた作品は、題名が思いつかなかったから無題なのではなく、題名によって作品のイメージを固定してほしくないから無題なのだそうだ。
確かに、クラシック音楽なんかはジャンルとしての名前(ソナタ、交響曲)なんかはあっても、特に古典派以前では作品に対して特別な名前をつけることは少なかった。ベートーヴェンの有名なソナタ「月光」も、彼自身が名付けたものではない。しかも、この名前の由来は「月光の波に揺らぐ『小舟』のよう」という批評家のコメントであるので、月光というよりも「小舟」に近い。この題に囚われすぎた演奏をすると、ベートーヴェンが本当に表現したかったことを見失ってしまうかもしれない。
そもそも音楽とは、言葉で表現できないものを描き出す手段である。それなのに、題名という言葉のイメージに囚われたまま音楽を鑑賞するのは、勿体無いじゃないか。